【かわいいこっくさんのみるゆめは】

2

 やっぱり、ゾロはみかん畑の中で眠っていました。
 幻覚虫は、じょうずにゾロの感情に寄生しました。
 エッチな幻覚を思いっきり見せてあげました。
 いわゆる、ゾロサンです。
 幻覚虫のすごい力で、ゾロの夢の中に可愛いサンジが現れました。
 それは、もう…すごいエッチでした。
 幻覚虫のいい加減な形からは想像もできないくらいリアルな夢です。

 夢の中のサンジは、大胆にも自分から誘ってゾロにキスをしました。
 甲板に寝そべってるゾロにふわり…と,跨がると、うっとり嬉しそうに笑います。
 「……無茶苦茶にしてくれよ…」
 …そう言いなからほんのり目元を赤くして、はじらながも自分からシャツのボタンを外しました。とても綺麗な艶かしげな白い肌です。ゾロは思わず生唾をゴクリと飲み込みました。
 「……お前……どうたしだよ……」
 切羽詰まった表情のサンジがゾロを見詰めています。
 薄い唇が、躊躇いがちに開かれます。
 やがて、サンジはぽそりとゾロに言いました。
 「俺……我慢出来ねーんだ…ほら…」
 こんなになってんだよ…と、勃起したぺにすをぐりぐりとゾロの太腿に擦り付け、
 「んっ……ああ……」
 と、感じているような濡れた喘ぎを控えめに漏らします。
 ゾロの下半身を直撃するような色っぽさです。
 ゾロは、幻覚虫の幻覚に次第に嵌まっていきました。
 サンジはいつものサンジと全く変わらない姿で。いつもとは全く違う媚態を見せつけながら、体をくねらせてすりよってきます。
 冷たい身体が、ゾロの身体の上で徐々に火照り始めていきます。
 「……どうしよう……とめられねぇ……」
 サンジは、切羽詰まった感じで、困ったようにゾロに言いました。
 「……ここで…俺のこと……抱いてくれねぇ…?」
 「………俺で……良いのか……?」
 「………お前が……良い……」
 切なく真剣な眼差しが、ゾロの視線に絡み付きます。
 「……キス……してくれよ………」
 言いながら、サンジは恥ずかしさに股間をますます勃起させて、身体をくねらせ、真っ赤になって目を閉じました。
 「……頼むから……」
 ゾロが抱き締めてキスしてあげなくては、どうにかなってしまいそうな程、サンジは熱い体を持てあましてしまっていました。
 ゾロはものすごく、ドキドキしてしまいました。
 ずっと黙ってて…道ならぬ男同士の恋愛だからとこの想いは一生黙っているつもりで…剣のの道に没頭していたゾロは、本当は一目逢ったその日から、キレイで優しい海の可愛いコックさんに惚れていました。
 いつかキスがしたいと思っていました。
 いつか抱き締めたいと思っていました。
 いつか、セックスがしたいと思っていました。
 好きって言いたいと思っていました。
 サンジ…って、呼びたいと思っています。
 でも、まだどれ一つ出来てはいませんでした。
 言って失うくらいなら、自分の想いは封印してしまえば良いと思っていました。
 恋愛に不器用な未来の大剣豪は、好きな相手に自分の気持ちを本の少しも伝えることは出来なかったのでした。
 なのに…一体何の奇跡と言えば良いのでしょう、大好きなサンジが自分にエッチをねだるのです。
 (……まさか…夢か?)(↑ある意味正解です)と、ゾロはサンジを見上げながら思いました。
 「………ゾロ……」
 一向に自分に触れようとしないゾロの態度に、不安げな表情を浮かべて、自分を見詰める愛しいコックが目の前にいます。
 「………やっぱり……俺じゃ……ダメか……」
 悲しそうにサンジが口を開きます。
 もう、たまりません。
 ゾロは思いっきりサンジのことをだきしめてしまいました。
 自分の分厚い発達した胸筋にサンジの細身の身体を埋めさせます。サンジは咄嗟にゾロの胸に頬擦りします。
 「……してくれよ……」
 もう、限界です。
 ゾロは、力一杯サンジを抱き締め、奪うように唇に自分の唇を重ねました。
 戸惑うように彷徨っていたサンジの柔らかな舌に自分の舌を絡めます。最初、タイミングがよく解らなくて上手に絡み合わなかった舌も、やがて滑らかに、深く絡み合い、次第に激しくなっていくのでした。
 長い長いキスの後、間近にサンジの蕩けた表情がありました。それだけで、オスの部分が暴走を始めてしまうゾロでした。
 オヤジシャツはサンジが脱がしてくれました。
 サンジのズボンはゾロが脱がせました。
 ゾロのズボンはサンジが嬉しそうに脱がせてくれました。
 サンジの裸は何度か見たことがありましたが、改めて近くで見ると、綺麗なだけではなく、エロいものでもあることにゾロはようやく気が付きました。
 「……本当に良いのか?」
 ゾロは、確かめるようにサンジに聞きました。
 「……当たり前じゃねーか……」
 はにかんだ声で、でも、しっかりと。
 サンジはゾロに言いました。
 「俺、お前とセックスしたいんだ……」
 いや……本当に、幻覚虫の幻覚は素晴らしいものがあります。
 サンジは皮膚を触られるだけみたいな触られ方がお気に入りで、おしりとか背中とかをそうやって、そーっと触ると、
 「あっ……」
 なんて、声を出しちゃいました。
 ゾロは、サンジのそんな感じている声に、もう、どうしようもなくなっていってしまいました。
 時間をかけてゾロはサンジを愛撫します。
 これ以上はないくらい、勃起した二人のペニスは握られたがって、舐められたがりました。
 シックスナインの体勢で、お互いのペニスを思う存分味わいました。
 「…美味ぇ…」
 思う存分可愛いコックさんを可愛がって味わいました。
 「うんっ……あっ………あっ………あー…っ……」
 普段からは想像も出来ない程乱れるサンジがゾロの身体の下で喘ぎます。
 「……感じるか……?」
 サンジは、ガクガクと夢中で首を縦に振ります。
 「…いい…っ……あっ……ああっっ…」
 四肢を張り詰めて頂点を目指します。
 ぺにすの先から後から後から溢れてくる先走りの精液さえも、とっても美味しいサンジです。
 「……い……イク……っ……」
 張り詰めて大きくなったべにすが、ゾロの口の中で一層固さと張りを増していきます。
 口に銜えているのは刀ではなくサンジのぺにす。
 次の戦いは…いえ、これから先の戦いでろ、口に刀を銜える度に、この感触を思い出すかも知れないな…と、ゾロはふと思い、二刀流や一刀流の技もこれからは考えなけりゃなんねーな…と、思うのでした。
 刀のようにしっかりと、でも、決して歯は立てずにゾロはサンジを攻め続けます。
 サンジは必死でゾロの短く刈り込んだ髪の毛を掴み、自分の股間に押し付けます。
 自分から突き出すように、更に深く強い快感を貪ります。シックスナインの体勢も、やがて崩れ、ゾロの凶悪なまでに素晴らしいペニスは、サンジの口から外れて欲望に揺れます。
 時折サンジの頬にぶつかると、何とも言えない快感が津波のようにゾロを襲いました。
 片手で絞り出すように棹を扱いて、舌の攻撃はカリ先にへと集中させます。サンジの喘ぎはやがて悲鳴へと変わっていきました。
 感じて感じて、オナニーだけではとても到達出来ないレベルの快感が怒濤のようにサンジを繰り返し襲います。
 「ああっっ!…もっ……イクっっ!!うああっっ!!」
 足の親指の先まで真っすぐに伸ばしていた足が、弾けるように震え、サンジは欲望の白い精液を撃ち出して達しました。ぴくんっ、ぴくんっ!と、身体を震わせるたび、トロリとした濃密な精液がソロの口全体にまろやかに広がります。苦いと言われている精液も、サンジのは不思議なくらい甘くて美味しく感じました。
 快感にはぁはぁと息を切らしているサンジの両足を高く持ち上げました。
 「…っ……はぁ……」
 恥ずかしそうに身体を固くしたのしはほんの一瞬。
 サンジは身体の力を抜いて、静かに目を閉じました。
 「………いいぜ……来いよ……」
 普段の意地っ張りな感じなんて微塵も無いような可愛らしさです。
 あまりの可愛らしさと、あられもない姿とが相まって、あり得ないくらい興奮してしまうゾロ。
 「いくぞ…」
 気分はミホークとの対決の時と同じくらい高揚しています。
 そんなゾロを嬉しそうに色っぽい視線で見上げると、サンジは自分から一層足を広げました。
 どこから出たのかは永遠に謎のブルーマリンの色をしたローションでサンジの肛門をたっぷりと濡らし、中にゾロの男前な長い指を差し込みます。
 「んんっ!!」
 「大丈夫か?」
 「…ん……大丈夫だ……」
 指を揃えて第二間接だけを曲げるようにしながら内壁の壁を指の腹で優しく撫でます。
 「うあっ……!…」
 腕の下で、サンジが目を見開いて反応します、
 「どうした?」
 サンジは答えません。
 でも、蠢かす度に見せる反応と、喘ぎ声だけでも、どれだけ感じてくれているか、正に手に取るように感じることが出来ました。
 二本の指が滑らかに出入り出来るようになり、サンジの身体が快感だけを追えるようになって、ようやくゾロは自分のペニスをサンジの中に入れました。
 流石に立派なゾロのベニスは、そう簡単には入りません。大切で大好きサンジを少しも傷つけないようにと、最新の注意を払いながら、ゆっくりと、じりじりと、腰を進めました。
 サンジもゾロを全て受け入れようと必死でした。
 自分の肛門をレディのラビアと同じなんだと必死でイメージしました。どんな大きなペニスでも、ゾロだから全て受け入れよう……そう思いながら、ゆっくりと確実にゾロのペニスを自分の中に受け入れていくサンジでした。
 時間をかけてやっとゾロのペニスはサンジの中に全て入りました。それだけで感激に泣きそうになっているサンジに優しくキスを落とし、ゾロはゆっくりとゆっくりと,慎重に腰をグラインドしはじめました。
 「っっ!!!」
 首を仰け反らせ、最初は苦痛の表情を浮かべられてしまいましたが、やがて激しい快感に感覚は置き換えらていきます。
 「あ……ああ……っ……い…イイ……っっ……」
 うっとりとした…コックさんの恍惚の表情は、もうそれだけでごはん三杯は楽勝に行けそうです。ゾロは、自分が先にイってしまわないように我慢するのにえらく苦労していました。
 徐々にピッチが高まります。
 みかん畑では、男同士の喘ぎ声とぐちゃぐちゃと言う濡れた音が引っ切りなしに聞こえていました。
 クルーはそっとしていてくれました。
 もう気遣うことも難しくなってきました。
 激しく腰を動かすゾロがいます。
 サンジは死にそうになりなからも、快感を貪り、絶頂へと駆け上っていきます。
 「イク……イク…ぅ…っ……」
 激しい喘ぎの中で、ゾロに全身でしがみついているサンジはゾロに自分の限界が近いことを伝えました。
 ゾロは答えるかのように更に、もうこれ以上は無いというくらい腰を激しく打ち付けました。
 サンジの頭が仰け反り、一層高い喘ぎを漏らし、全身を痙攣させて………
 「ぅぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ」
 ゾロの腕の中で絶頂を迎えました。
 「……ううっっ!!!」
 その締め付けと言ったら最高で……ゾロは人生で最も大きな快感の波に溺れました。 

 ゾロはサンジの中に出しました。サンジは泣きながらも気持ちよさそうで、ゾロも気が狂いそうなほど、気持ちよくなりました。
 「……なぁ……」
 恥じらいなからもサンジはゾロに手を伸ばしまする。
 その仕草の可愛らしさに、またムクムクと勃起してしまう、ゾロなのでした。
 人には言えないくらい激しいエッチをそれはそれはいっぱいしました。
 幻覚虫の幻覚は、予想以上の激しさでした。

 

 ゾロはお昼寝から覚めました。
 「…………………」
 ゾロは今の夢をばっちり覚えているようです。とても赤い顔をしています。
 「しめしめ。ぞろ、どきどきしてるぞー」
 幻覚虫(寄生後)はゾロの感情から、びよんっ、と飛び出してどこかへ逃げていきました。
 満足そうにニコニコ笑っている顔が、ほんの一瞬見えました。

 

 ゾロは夢が幻覚虫のしわざだったとは夢にも思わず、自分の見た夢にひたすら動揺していました。
 思わず鼻血を出してしまったほどです。
 みるみるオヤジシャツは鼻血まみれになってしまいました。
 そんな時、夕食の用意ができたサンジは、ゾロを起こしにみかん畑へとやってきたのです。
 「コラ、いつまで寝腐ってんだよっ、起きやがれこのマリモ……って、おいっっ!!」
 サンジはゾロの血まみれのオヤジシャツに気が付きました。
 飛びつくようにシャツを掴むと心配のあまりに目にいっぱい涙を溜めて一気にまくしたてました。
 「何だよっ!!この血はっっ!!……お前まさか……ゾロっ!!しっかりしろっっ!!ゾロっっ!!!」
 ゾロは、真っ青になって自分を揺さぶるサンジをとても愛おしいと思いました。幻覚虫の幻覚の効果絶大です。
 ゾロはようやく自分の気持ちに素直になっても良いんじゃねぇのか…ということに気が付きました。
 「…なんでもねぇ…」
 そんな気持ちをサンジはまだ気が付いてはいません。
 「そんなっ…なんでもねぇヤツがシャツ血まみれにしてるかよっっ!!いいか、今チョッパー呼んでくるからっ。オレが戻るまで絶対に動くんじゃねーぞ」
 と、立ち上がり走り出そうとしたサンジの手をつかみ、ゾロは軽く引っ張ると、自分の胸の中にサンジを抱き込みました。
 「ええっ?な、何っ?!」
 「心配すんな」
 落ち着かせるように髪の毛を優しく撫でながら言いました。
 「………鼻血だから…大丈夫だ……」
 「は…鼻血?」
 「ああ、鼻血だ」
 「普通そんなに出るものか?」
 「さぁ?出るんじゃねーのか?」
 「誰かに切られた傷じゃネーのか?」
 「ああ、違う。これは自分で勝手に出した鼻血だ」
 「………本当か?」
 「ああ……」
 「ちり紙とか詰めなくていいのか?」
 「ああ、大丈夫だ」
 「………なんだよ…驚かせやがって……」
 ほっとしたサンジはゾロの腕の中で思わず力を抜きました。
 「……バカやろう…どこにぶつけたんだよ」
 「…ぶつけてねぇ」
 サンジがニヤリと笑います。
 「何?……なんか想像しちゃったとか?」
 「……ああ」
 「へーっっ、未来の大剣豪様も人の子って訳だ。んで?何想像しちゃったの?イーストブルーのおねーさまとかかよ?んん?」
 ゾロは、真っすぐサンジの真っ青な目を見詰めました。
 「…な…なに?」
 真面目で男前な表情にメロッ…ときます。
 ゾロは、真面目な顔のまま言いました。
 「お前の夢を見た」
 「………へ?」
 「お前の夢見たら、こうなった」
 サンジにはさっぱり何のことだか分かりません。
 「何だよ?」
 でも、端正な顔にドギマギします。
 「お前のせいだ。責任、取れ」
 「んな…」
 鼻血の理由が自分のせいだと言われたサンジは納得出来ません。取りあえずブチ切れようとしたその瞬間、ゾロの大きな右手がサンジの細い顎をつかんで上を向かせました。
 「…ゾ、ゾロ…っ…」
 「うるせぇ…目ぇ、瞑ってろ…」
 ゾクゾクするような優しい低い声でした。
 サンジは思わずゆっくりと目を閉じました。

 (…えっ……ええ?……もしかして……このシチュエーションって……)

 まるでキスされるみたいです。

 (ま……マジで……vv……)

 夢にまで見たゾロからのキスです。
 千載一遇のチャンスです。
 サンジは息まで止めて待ちました。
 ゾロの吐息が自分の唇に掛かります。
 途端、全身が熱くなるサンジでした。
 無意識に唇が窄まりました。
 ところが………。
 「きゃぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!ゾロっっ!!サンジ君!!!あんた達どうしたのっっ!!!!血まみれよーっっ!!!!!」
 ゴーイングメリー号にナミの悲鳴がこだましました。
 あまりにもあまりにもその大きな悲鳴に………サンジは夢から覚めたのでした。
 「…………血塗れか…………」
 夜明け前の男部屋。
 ぽつり…と、心の底から残念そうに呟くサンジ。
 隣のハンモックで寝ていたウソップは、そこだけ聞いて震えていました。

 

 

 

 現実のゾロとサンジの二人にはまだまだ進展がありません。
 でも、サンジはすごくドキドキしています。
 無茶苦茶な夢ではありましたが、リアルなエッチと、ゾロがしようとしてくれたキスがとても気になるようです。
 それと、もう一つ、どうでも良いことに悩んでいます。
 夢の中で、幻覚虫が見せていたゾロの夢の内容をどうして自分が知っているのか、不思議でならないということです。
 自分の見た夢だから、ゾロの夢の内容だって分かって当然なのに、そのことにいつまでたっても気が付かないのはサンジの天然がなせる技なのかもしれません。

 あ、そうそう。
 サンジのお料理レシピに
 『おいしい虫のエサ』
 が、書き込まれたそうですよ。
 
 いつ使われるのか。
 それは永遠の謎ですけどね。


 おしまい。

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