【1184 1210】
16
俺はサンジ。
現在絶賛彼女募集中。
誤解しないように言っておくけど、俺、女の子が大大大大大好きっ!!だ。
女の子ならオールオッケー。
どんな年齢の子も大好きだし、全ての女の子は可愛く見えるっ。
女の子なら全ての性格は可愛いと思うし、女の子だったら何をされてもメロメロになれる自信が俺にはあるっ。
もう…俺はどんな女の子にでも幸せにしてもらえる自信がある!そして、女の子を全身全霊で大切に出来る自信があるよっ!!
問題は、あんまり女の子が大好き過ぎて積極的に声を掛けると、ちょっとだけ女の子が俺の愛情を受け止めきれなくて身を引いちゃう所なんだよね。(例・二十一歳の料理修行から帰ってきたばかりの頃…)
今でも俺の心の指定席は君のために空けているから気軽に連絡してねっ。
んで、ホント誤解の無いように言っておくけど、俺、ホモとかじゃないからね。
妙に声掛けられたりもするけど、マジでそういうのじゃないから。
良くエースとか泊まりにきて大人しく寝ないままで終わらなかったりするけれど、アレも違うから。
だって機能的にもセックスとかって無理でしょ?
(あくまでも女の子相手で)プラトニックな恋愛とかも素敵だとは思うけど、俺はパートナーとはちゃんときっちりセックスしたい派です。
俺の名誉のためにも言っておくけど、エースとはセックス(出来ないから)してないからね。勿論くちびるキスもさせたことは一度も無いよ。
と・に・か・く。
俺は女の子が大好きなのさっ。
……って、話がかなり脱線したぜ。
どこまで話たっけ?………ああ、そうそう。名前しか言ってないや。
ま、名前はサンジね。
年は二十六。
人生相当楽しい頃だったりする。
ガキの頃からジジイの経営している『バラティエ』ってレストランで働いてたんだけど一念発起して独立。
当時の有り金全部叩きながらも相当足が出たんで銀行のお世話になりつつあこがれの『一国の主』になってみた。
ずっとずっと温めていたプランを引っさげて作ってみたのがちっちゃなちっちゃなサンドイッチ屋。
『Ho fame』
読み方は『オ・ファーメ』。
どこでもいつでも腹を満たせる料理を作りたくって始めた店だ。
有り難いことに常連のお客も地道にちゃんと増え続けている。
雑誌にも良く掲載されている大学芋の専門店『芋大学』の隣の隣の、隣のお店。
家賃の都合上、見落とせるくらいちっちゃな店になっちゃったんで、スゴい必死で探してもらわなきゃいけないんだけど頑張って是非探しにきて欲しい。
目印は名門グランドライン大学。
東京の観光名所にもなってる正門(確かにアレは迫力のある門だもんね)から徒歩一分圏内。
近くにお立ち寄りの際には是非ともよろしくお願いします!!
店の名前、イタリア語で『お腹がすいた』って言うんだ。
良い名前でしょ?
朝の一限目前が一番のラッシュを迎え、この時間帯は段々とバイトの子が欲しいかなぁ…とか考えてるんだけど、殺人的に忙しいのはほんの三十分くらい。後は昼のグランドライン大学内の研究所へのケータリングの分とランチ用に追加のサンドイッチを作れば、夕方までは比較的のんびりと時間が流れて行く。
その時間帯は新しいレシピを考えたり、ふいに思い立ってプチ総菜を作ったり、突然発作的にドルチェ作ってショーケースに並べてみたりしながら過ごしている。
総合的には気楽でやり甲斐のある仕事。
俺に取っては正に天職。
実は将来に向けてまた一つ大きな野望があるんで、今はその資金作りに精を出している所。
単価の安い商売だから、のんびりしているヒマなんてホントは全然無いんだけどね。
バラティエで働いていた頃に比べれば生活は無茶苦茶質素。
独立してから身に付いた貧乏性が功を奏して(?)アパート代を払う気力が全く無くなり、独立当時より貯金が出来つつある今でも、妥協無しでリフォームした一階の店舗と厨房部分以外は、果てしなく老朽化溢れる廃墟チックな物件の二階に住んでいる。
意図せず『結果総鶯張り』となっている床の軋み具合は下手したら踏み抜きそうな勢いだ。
恐怖のあまりに家具らしい家具はベッドのみ。
机は俺の店の隣にある雑貨屋のワゴンセールに出てた小さな折りたたみ式のちゃぶ台で、タンスは無印で買ったプスチックの引出し二つで代用している。
食器は究極の仕分けの結果、おままごとセット級の小さなシンクの上にある備え付けの棚に置かれたプレート二枚とカトラリーとマグカップ二つのみ。二階部分は料理が出来る環境からはほど遠いんで基本的にはメシの準備は一階の厨房でやって、二階で食うって感じかな。
電化製品に至っては、エアコンと…携帯電話と…ノートパソコンと…ベッドの所のスタンドと…後は…ドライヤーくらいかも。
収納スペースは半間の変形した押し入れのみ。
トイレは辛うじてあるけど、風呂は無し。
台所と物件上記載されていたコーナーはあるけど冷蔵庫を置くスペースは無し。
部屋って言うよりも秘密基地って感じの部屋。
狭さとボロさに慣れれば隠れ家っぽくて妙に落ち着く。
…ああ… だからかな。
俺の部屋ってなぜか遊びにきたヤツ等帰りたがらないもんな。
昨夜有無を言わさず上がり込んできたエースもしかり。
仕事上の(だけじゃないけど)パートナーのマルコがいなくて寂しいとベッドの上で、泊まらせろ〜とダダを捏ね、結局昨日は帰らなかった。
『サンちゃんちってテントの中っぽい』
とか、よく考えると失礼なことをほざきながら、でもこの部屋落ち着くから大好きだ、なんて言っていた。
「俺も来月からアマゾンだからそしたら暫くテント暮らしだよ。コレだけ快適なテントだったらストレスも溜まんなくて良いんだけどね」
「…おい、今もの凄く失礼なことをサラっと言ってなかったか?」
「ん?言ってないけど?」
「つまり俺の部屋はテント並ってことじゃねぇのか?」
「そうだけど、サンちゃんの部屋は理想のテントって感じだし」
「フォローになってねーだろーが」
「そう?」
「そーだよ」
「そっか。でも、俺サンちゃんの部屋すごく好きだよ?」
サンちゃんもいるし。
満面の笑顔に騙されかけるがそうはいかない。
「誤魔化すな」
「ねーねー今度カンテラ買ってあげようか?この部屋にすげーあうヤツ」
学者みたいな顔して暫く考え、「やっぱモスグリーンかな?」とか言っていた。
他の友達からも次々に思いつかれては変なアイテムを持ち込まれ、日々秘密基地化が進行しているのが目下の悩みだ。どんどんと女の子がくつろげない仕様になって行く気がしてならない。
…あ……でも、そもそも女の子を上げられるような部屋でもないか。
決めたっ。
俺、彼女が出来たら超スタイリッシュな部屋を借りる。
絶対、だ。
あ、そうそう。
ついでにエースと俺との関係も。
エースの方が俺よりも遥かに有名なんで知ってるかもしれないけれど、生物学者の権威。
去年の国際生物学賞の受賞者。
ほら、あの『半裸の受賞者』とか『萌える燃える物理学者現る』って見出しで大々的に週刊誌でクローズアップされてた人。
そーそー。テンガロンハットの人。
そうだよね。そっか。そっちの方が記憶のインパクト大きかったもんね。
礼儀正しいんだけど何か違う…って感じの不思議な人にしか見えなかったかもしれないけど、本当にスゴい人なんだって。
俺、毎日グランドライン研究所にケータリングに行くから知ってるんだけど、専用の研究室を与えられてるような人だったりするんだ。
あの研究室の一室を与えられるってスゴいことなんだ。
グランドライン研究所だけに限らないとは思うけど、そう簡単には専用の部屋って与えられない。
若手の研究者なんて言うのは大部屋みたいな共同の研究室で自分の研究をしなきゃならないんだ。与えられた研究室がなんであれ環境がどうであれ決まった期間の間に研究者って一定の成果を求められてる。
結果が残せなければ結末はシビア。
翌年には研究所のどこを探しても姿が見えなくなっている。
どんな世界でも生き抜くのって厳しいなぁ…って実感する。
一介のサンドイッチ屋には研究者の真の苦労っていうものまでは理解出来ないけど、それでも苦労してるのは良く分かる。
皆一日でも早く名を上げるんだって必死になって研究してるよ。
そんな中でエースは若いうちから専門の一室を与えられたって話。元よりスゴい研究チームのトップだったそうで、若いうちから頭角を現していたんだってさ。
ほぼ伝説とまで言われている研究談も幾つもあるって同じチームのマルコさんが言っていた。
『本人にゃ全く自覚が無いんだけどな』
マルコさん独特の口調でエースのことを褒めていた。
『ま、あいつは本物だよい』
見せて貰った論文は俺にはちょっとも理解出来ないけど、マルコさんの言ってる通りだと思う。
『まぁ、俺の留守の間はちょっかい出してくると思うが、宜しく頼む』
ちょっかいはマルコさんがいる時でもしょっちゅうですよ。ってケータリングの時に話したら、
『あいつはお前さんをママみたいに思ってるところがある』
困ったように笑いながら。
『見掛けに寄らず寂しがり屋なんだよい』
度が過ぎるようなら言ってくれ。って、なぜか頭を下げられた。
…初めて手を出されたのは結構最近。
『ちょっ…!なっ…!エースっ!!!』
『反応したからもう我慢しない』
組敷かれた身体は全然動けなくて逃げられなくて。
あっという間に服をむしり取られて下着を脱がされた。
抵抗する前に二度もイかされた。
手で一回に口で一回。
場所はエースの研究室。
泣きたいのはこっちの方だったのに、腹立たしいくらい太々しかったエースの目はなぜか泣きそうだった。
『セックスはしないから』
信じられないような場所にとんでもないモノ入れられたりとか散々色々やられたけれど、流石にエースのチンコで何かされたりとかは無くて済んだ。
ま…そうだよな。いくら『穴』って言っても、あそこにチンコは挿れたくないだろうしな。
そりゃ、したくたってセックスする『穴』なんて無いもんな。
挿れるにしても痛いし気持ち悪いし。
こっちもたまったもんじやなかった。
『セックスしないから』
『…あたりまえだ…』
深く考えずに返事を返した。
最後の方はエースも裸になっていたような気がする。
記憶がグチャグチャになってるからはっきりしないけど、完勃ちしたチンコがデカくて驚いたような気がする。 エースは自分のケツの穴にバイブを深く突き立てながら俺のチンコを根本まで銜え、左手で自分のチンコを扱きながら、右手は俺のチンコに添えていた。
ジュボジュボと…女の子にしてもらうよりも遥かに乱暴で勢いがあって、力があって、的をしっかりと押さえたフェラに拒絶しながらもすげー感じたのは……確か。
無茶苦茶変な声上げてたのも…確か。
最後の最後でなぜか身体の奥が変な感じになってたのも……確か。
終わった後に身体を綺麗に拭かれ、ベッド代わりの三人掛けのソファーに寝かされた後、甘えるように抱き着いてきたエースを押しのけなかったのも…確か。
疲れてたけど、拒絶しなかったのはそれだけが理由じゃなかったも、しっかりと俺に抱き枕にして爆睡していたエースが寝言でマルコの名前を何回も呼んでいたのを聞いてたら、怒る気力が失せてしまったのも、確か。
それからなし崩し的にちょっかい出され続けているのも確か。
結局は好きなようにさせているのも、確か。
本当のママにやったら即アウトな行為ばかりだが、本当に俺を『ママ』の代わりにして甘えているのも、多分確かだ。
聞けば男女問わずに可能な限り身体を重ねているって噂を研究所で聞いた。
普通に聞けばとんでもない話なんだがなぜか憎めない。
普通の時には二ヶ月に一度あれば多い方。
マルコさんが研究室にいる間は全く無し。
ところがマルコさんがいなくなると間を空けずに二度三度。
解りやすくて、憎めない。
いつもニコニコとしていて人懐っこいこの男。
いじらしくなるくらいマルコさんのことが好きなんだよね。
いなくなったらそれこそ一人じゃ眠れないほど。
そんなヤツに甘えられたら……
俺としては頭を撫でてやるしか出来ねーって。
いや、マジで。
俺の名誉のために言っておくが、俺は断じてエースのセックスフレンドじゃねーからなっ。
それだけは理解してくれ。
ホント頼むから。
俺が好きなのはあくまでも女の子だからねっ。
肌が密着するのが気持ち良いなとか、抱き締められてると暖かくて気持ち良いなとか、チンコ擦られるとたまんないな何て言うのは…もう…ただの条件反射なんだからなっ。
エースのことは好きだけど、そーいう『好き』とは違うんだからなっ。
ホントだぞっ。
…本当に。
続く
15 top 17 |