【1184 1210】
7
「……エース」
「ん?何?」
「これは…一体どういう意味だ?」
「え?」
ベッドの上でひとしきり寝心地を楽しんでいたエースが突然四つん這いになり俺の方を向いて手招きをした。
前戯も無くて良いのか、と、頭の中で驚きながらも後ろから自分のペニスを挿入しようとエースの腰に手を掛けた瞬間に身体を捻らせて右手を俺の直ぐ目の前に出し、『待てっ』と俺の動きを制止した。
条件反射的に言うことを聞くと、背中の入れ墨を見ろと指示を出された。
サウナから一番近くにあるホテルにチェックインした後、
「うわぁっ♪やっぱりスイートルームって違うなぁ…っ。俺達今日、超ラッキーだぜっvVこの時間でこの部屋空いてるなんてフツーねーもんっ」
と、半ばスキップ気味の歩調でベッドに向うと、辿り着くまでに(しっかりと俺の目の前でやっていたのにも関わらず)どうやって脱いだのか解析出来なかったんだが…器用に全裸になりながらキングサイズのダブルベッドに飛び込んだ。
入り口からベッドまではエースの軌跡に沿って点々と着ていた服が脱ぎ散らかされている。
「うっは〜…ベッドでっけー。うわぁーっvVシーツ気持ちぃーっっ」
全身をベッドに押し付けながらジタバタと動いているエースは、俺より年上の男とはどうしても見えない。
無邪気だからか。
アホだからか。
「ひゃっふー!!いぇーいっっ!!」
「………」
…両方だな。
呆れながらもなぜか俺の口元は笑っていた。
「腹ごしらえしたら始めるぞ」
「♪」
今度は大きな枕に抱き着いてベッドの上をゴロゴロと転がってたエースは、枕の向こうから嬉しそうに笑っている目だけ俺の方を見てコクコクと頷いていた。
ポートガス・D・エース
目付きこそ学者特有の悪さが際立っているが、笑うと急に幼く見えるソバカス顔のこの男は、俺と同じグランドライン研究所に勤務する生物学者だ。自他共に認める世界のトップクラスの実力の持ち主だ。
ほぼ一年を通して薄着の男。
夏場になると白衣どころか服を着るのも面倒臭くなるのかハーフパンツに上は裸。
身につけているアクセサリー類の類いの方が服よりもはるかに重量が有りそうな気がしてならない。
腰に付けた短剣は護身のためだと言っていたが、生態調査でジャングルの中に分け入っている時ならともかく、この研究所内でも常に身に付けている意味は全く分からない。
よく銃刀法違反で掴まらねェな…と内心感心している。
テンガロンハットと数珠のようなネックレスはエースにとても似合っている。特にテンガロンハットに着けられた顔のようにも見える二つの飾りは密かに欲しいと狙っている。
現在、籍こそグランドライン研究所に置いているエースだが、正式には白ひげことエドワード・ニューゲート率いる世界最強の頭脳集団と呼ばれている『チーム白ひげ』の一員だ。
『チーム白ひげ』と言えば、十六人の各分野のスペシャリストをチームリーダーとして『一番隊』から『十六番隊』と名前を付けた集団を構成し、直属では千六百人の研究者、傘下の研究員も含めれば、本当かどうかは定かでないが五万人を超える研究チームだ。
生物学という多くの系統を持つ学問の全分野を研究している最大かつ唯一のチームでもある。
特に海洋生物学に関しては、他の専門の研究チームと比較しても遥かに高度に体系化された研究成果を排出している。
研究チームが所有している調査船モビーディック号はこの研究所の名前の由来にもなっているあのグランドラインの航路すら制覇したとも言われているそうだ。
結果付いた別名は『白ひげ海賊団』。
個人的にはチーム白ひげよりも似合っているんじゃないかと思っている。
エースの専門は『動物行動学』だ。
また、同じくグランドライン研究所に在籍しているチーム白ひげ『一番隊隊長』のマルコのパートナーでもある。
行動生態学の第一人者であるマルコの研究を手伝う傍ら、自らも行動遺伝学のスペシャリストとして『二番隊』隊長と言う肩書きを持ち、特に生殖・繁殖の分野においては多くの論文を発表し続けるところは驚きだ。
こいつの論文が動物行動学の指標とされたものも数多く有ると聞いている。
研究所にはエース専用の部屋が用意されているにも関わらず、当のエースは研究所にいる間、大学の講義の時間以外は行動生態学の第一人者であるマルコの研究室で大半の時間を過ごしている。
『俺?マルコと一緒が良いよ』
エースの部屋は専ら『生殖実験室』として使用されていると聞いている。
具体的に何に使っているのかは興味が無い。
パウリー曰く『ハレンチな』実験が昼と言わず夜と言わず行なわれているとのこと。
あいつの説明は本当に分かり難くて理解が出来ない。
ああ…それと説明するまでもないが。
有名な兄弟がいるというのは、有名な話だ。
ルームサービスで適当に頼んだメニューを食べ、腹が膨れて来た所で喉が渇いていたことに気が付いた。
備え付けの冷蔵庫から缶ビールを取り出して一気に飲み干す。
「ふーっ…旨ェ。おいエース、お前も飲むか?」
「ん?」
一足先に食べ終わったエースは思い出したようにまたベッドの寝心地を楽しんでいたが、声を掛けた直後俺の顔を見上げると歯を見せて笑い、そのまま徐に四つん這いの姿勢になった。
俺の方に突き出したケツを向けているので、筋肉質のケツの割れ目の奥と、少し黒ずんだ性器が見える。
まだ何もしていないのに太さも長さも今まで相手にした男の中では平均以上だ。
均整の取れた体付きも人並み以上の比率の良さだ。
「…ゾロ…」
「………」
生唾を飲み込む音を聞かせたくなかった。
渡そうと手にしていたエースの分のビールも一気に飲み干し、そのままくしゃりと缶を握り潰して返事を返す。
「…何だ?」
「…良く…見えるか?」
「…ああ」
エースの性器から目を逸らさずに直ぐ側にある机の上に潰したビールの空き缶を置いた。
『カタ…』
「…良く見える…」
「もっと側で見てくれよ…」
四つん這いの姿勢のまま頭だけ俺の方を振り返り誘う。
「………」
唇の動きを見ていたら、不覚にも急にざわ…っ…っと全身に奇妙な感覚が走った。
自分が欲情した時だけ出現する感覚だった。
無言で上着とシャツを脱ぎ、片手でベルトを外しながらエースの背後からベッドに上がる。
前戯も無くて良いのか、と、頭の中で驚きながらも後ろから自分のペニスを挿入しようとエースの腰に手を掛けた瞬間に身体を捻らせて右手を俺の直ぐ目の前に出し、『待てっ』と俺の動きを制止した。
条件反射的に言うことを聞くと、背中の入れ墨を見ろと指示を出された。
「…エース」
「…ん?」
大人しくエースの背中の入れ墨を眺めること三十秒。
「…何?」
「…これは一体どういう意味だ?」
「求愛行動だよ」
……求愛行動?
背中の入れ墨を見せるのがか?
……理由が解らねェ……
首を傾げながらも一応は言われた通りに眺めていると、次第にエースの腰が緩やかに動き始めた。
「よく見ててくれよ…」
言いながらエースは少しだけ足を広げると四つん這いの姿勢から両腕を曲げて頭をベッドに近付け、ケツだけを高く突き上げた姿勢に変わった。
「………」
ケツの穴もペニスも先刻より一層見え易くなった。
「……はぁ…」
吐息を漏らしながらエースが自分のペニスを徐に掴んだ。
そのまま節のゴツゴツとした長い指をペニスに絡ませ俺の前でオナニーを始めた。
「………」
「…ゾロ…っ…ちゃんと見てるか…?」
「ああ…」
背中の入れ墨を見ているよりは集中出来る。
暫く黙って眺めていると、エースのオナニーは俺のと比べても随分丁寧でバリエーションが豊富なことに気が付いた。
陰嚢を掌全体で撫で擦り、時に中の玉を握り締めるような感じで長い指が器用に動く。かと思えば普段俺は触らないようなペニスの根本の方を日本の指の腹で何度もゆっくりと擦り上げる。
するとペニスが目に見えて勃起していく。
「…もっと良く見る?」
エースが俺の顔を見上げる。
頷くと身体を捻り仰向けの状態にひっくり返った。
カエルの足の形に良く似た形に両足を大きく広げて俺の目の前に股間を晒すと、今度は器用に両手を使い出す。
左手はペニスの先を軽く握り、前後に揺らしながら露出し始めているカリ先を親指の腹で何度もソフトに撫で回し、右手は太腿の内側をゆっくりと大きく撫で回している。
時折ペニスから手を放し、脇の筋肉や腹筋胸筋を撫で擦り、乳首を摘み自ら刺激を繰り返す。「あっ…」俺が凝視しているのを目視で確認すると、しっかりと俺の耳にまで聞こえるような声で喘いでみせながらまたゆっくりと両手で自分の身体を刺激しながら股間に戻してペニスを握る。
暫く放していても萎えないペニスはしっかりと勃起しているようだ。
エースはオナニーの手を休めないまま何度も俺に視線を合わせた。
続く
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